86 MIN · 成功とお金

ハワード・マークスに学ぶ投資リスクの本質:ボラティリティを超えた真のリスク管理

真の投資成果は、リスクに見合わない超過リターンを生む非対称性にある。

30秒でわかる要約

オークツリー・キャピタル共同創業者のハワード・マークス氏がウォートン・スクールで行った講義を解説。学術的に広まった「ボラティリティ=リスク」という定義に疑問を投げかけ、投資における本当のリスクとは「資本の永久的な損失(Permanent Loss of Capital)」および「機会損失」であると主張します。リスクは事前に数値化できないだけでなく、結果論(事後)から測定することも不可能です。優れた投資家はリスクを完全に排除するのではなく、市場の下落時には損失を抑え、上昇時にはリターンを享受する「非対称性(アシンメトリー)」を構築することを目指します。資産の質ではなく「購入価格」がリスクを決定するという視点や、車保険のように平時から継続的なリスクコントロールを行う重要性が語られます。

重要な概念

ボラティリティと真のリスク(永久的損失)の区別

現代ポートフォリオ理論などでは価格変動の大きさ(標準偏差/ボラティリティ)をリスクと定義しがちですが、これは「数値化しやすいから」採用されたに過ぎません。実務家や個人投資家にとって真のリスクとは、価格の一時的な上下揺れではなく「戻ってこない資本の永久的な損失」です。

リターンの『非対称性(アシンメトリー)』

単に高いリターンを出すだけなら、市場全体が好調な局面や過度なリスクを取ることで容易に達成できます。本当の投資スキルとは、市場が良い時には十分に勝ち、市場が悪い時には市場ほど負けないという「非対称な損益構造」を作り出すことにあります。

リスクは事後であっても数値化できない

投資結果が良かったからといって、その投資が安全だったとは限りません(単に運が良かっただけの可能性もあります)。同様に、損失が出たからといって不適切な投資だったとも言えません。未来は単一の確定した結果ではなく「確率分布」であり、実際に起きた結果は無数の可能性の中の1つのサンプルに過ぎません。

リスクを決めるのは『資産の質』ではなく『買値』

どんなに素晴らしい超優良企業の株であっても、価格が高すぎれば極めてリスクの高い投資になります。逆に、業績の不振な低格付け企業の債券であっても、十分に割安な価格で購入できれば安全で魅力的な投資になり得ます。リスクは資産そのものではなく、支払う価格によって決まります。

ニフティ・フフティ株とハイイールド債の対比

1969年当時、シティバンクは『ニフティ・フフティ』と呼ばれる米国を代表する最高品質の優良企業群に投資していました。これらは絶対に潰れないと考えられていましたが、過度な高値で購入されたため、その後の5年間で大半の資産価値が失われました。一方で、ハワード・マークス氏が後に担当したハイイールド債は、低格付け企業の債券でしたが、十分安値で取得できたため安全かつ高いリターンを生み出しました。この経験は、投資のリスクを左右するのは資産の質ではなく『いくらで買ったか』であるという教訓を示しています。

5分のアクション

保有銘柄の「真のリスク」チェック

  1. 保有している投資銘柄から1つを選び、過去の価格変動率(ボラティリティ)ではなく「事業破綻や永久的な不振によって価値が戻らなくなる可能性」があるか考える。
  2. 現在の購入価格が本質的価値に対して高すぎないか(割高感がないか)、市場全体が下落した時にも焦って売却せずに耐えられるかを確認する。

直近で購入した成長株について、「株価の上下幅」ではなく「利益や現金流出が悪化した場合に価値がゼロになるリスク」がないかを検証する。

タイマー

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